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技術組織のリーダーシップ

デカトロン日本でOMSの独自開発を選んだ理由

ECと卸売を支える受注管理システムを日本で開発するという判断。AIによる開発支援と、さらなる自動化を見据えて。

私の役割
CTO
現在の状況
企業での取り組み
時期
2025–present

Decathlon Japanでの在籍時の経験です。KumaBitsの受託実績ではありません。

デカトロン日本にCTOとして戻った頃、卸売は私たちの最大の販売チャネルになりつつありました。同時に、ECにも改めて投資し、お客様との直接のつながりを保ちたいと考えていました。私の役割は、EC責任者と協力しながら、少人数の技術チームとともに両方を支えることでした。

課題を具体的に示していたのが、事業部門ごとの在庫の区分です。倉庫に商品があっても、それがある部門向けに確保された在庫であれば、同じ商品を必要とする別の部門の注文には使えない場合があります。後から入った注文がその在庫を使ってしまえば、すでに別の相手に約束していた納品に影響が出かねません。システムにも、その区分を守らせる必要がありました。

私たちが必要としていた受注管理システム、OMSは、decathlon.co.jp、楽天、卸売のすべてに対応するものでした。それまでNext Engineで扱っていたEC業務を引き継ぎ、卸売のフローを加え、新しい物流パートナーとの連携も支える必要がありました。

既存のシステムの多くは、自社で運営する店舗への商品供給を前提に発展してきたものでした。一方、卸売の取引先には、それぞれ独自の入荷要件があります。クロスドッキングでは、生産拠点や複数の倉庫から届く商品を、取引先への出荷につなげる必要がありました。追加のラベル貼付などの付加価値サービス、VASもあり、出荷先によって準備作業が変わります。在庫の区分、商品の流れ、出荷前の準備を、ひとつの業務フローとして機能させなければなりませんでした。

OMSには、さらに自動化を進められる余地も持たせたいと考えていました。卸売の取引先と情報をやり取りするEDIのフローを含め、ほかのアプリケーションと連携し、将来はエージェントにもつなげることは、当初から構想に入っていました。

対応の選択肢はいくつかありました。既存ツールに合わせて業務を変える、既存の仕組みを拡張する、あるいは日本で独自に開発する。クロスドッキングのような個々の要件に対応できる既存ソフトウェアもあります。私が重視したのは、フロー全体をどう機能させ、卸売の発展に合わせてどう変えていけるかでした。重要なルールがシステムの外に残れば、引き継ぎのたびに人がそれを覚え、適用しなければなりません。

日本で開発すれば、実際に使う人たちの近くでフローをつくり、変えていけます。その一方で、チームが保守し、理解しておくべきアプリケーションがひとつ増えることにもなります。私は、業務ルールと、それを変更したときに起こることへの責任を引き受けようとしていました。自分自身が納得する必要があったのは、少人数のチームと厳しい期限のなかで、その責任を担えるかどうかでした。

AIによるコーディング支援は、その判断に自信を持つ助けになりました。実装を支援してもらえることで、この制約のなかでも開発は実現できそうだと感じられたのです。自分も開発に直接関わるこのプロジェクトに踏み出す判断を、後押ししてくれました。

私は日本での独自開発を選び、自ら実装にも関わりました。開発中は、どの在庫を注文に使えるのか、倉庫にどのような指示を渡すべきか、入荷数が予定より少なかったらどうするかといった業務上の判断を、実装できるほど具体的にする必要がありました。これらは、私たち自身の事業理解に基づいて答えるべき問いでした。

現在、OMSはこうした範囲で、日本のECと卸売の業務を支えています。

倉庫との連携にあるひとつの動作が、開発の内容をよく表しています。クロスドックの入荷処理が確定すると、アプリケーションは入荷済みとして記録された数量を使い、カートンの参照情報を引き継いで、出荷オーダーの下書きを作成できます。入荷に差異があると記録されていれば、出荷前に数量を確認するよう、下書きにアラートが付きます。

次のオーダーは、届いたと記録された数量をもとに準備されます。差異も、対応が必要だと分かる形で残ります。小さな動作ですが、倉庫で起きたことと、次に送り出せるものをつなぐものです。開発に関わったことで、業務要件がどう実装に落とし込まれるかを、そこまで具体的に追うことができました。

この差異への対応は、次に進めたいことの例にもなります。エージェントが原因の調査を手伝い、チームに対応案を用意することも考えられます。EDIとの連携を深めれば、取引先の注文をOMSに取り込む際の手作業を減らせるかもしれません。そうしたアプリケーションには、OMSで定義された操作を通じて処理を行わせ、誰が、何が処理を開始しても、同じ在庫と出荷のルールを適用したいと考えています。

現時点では、この取り組みの効果を十分に判断するにはまだ早く、OMSも業務全体の改善を支える一要素です。それでも、ECの出荷ではすでにトラブルや遅延が減り、卸売業務は前年の10倍の規模に向けて拡大し始めています。

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